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  • 2025年日本国際博覧会
  • 大阪・関西万博 シグネチャーパビリオン「EARTH MART」
  • SPATIAL EXPERIENCE2025.07.01

2025年大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「EARTH MART」(プロデューサー:小山薫堂氏)にて、SPECIAL REQUESTはパビリオンの体験設計に加え、映像およびインタラクティブコンテンツの企画・演出を担当しました。

本パビリオンのテーマは、“食を通じて、いのちを考える”。
私たちが直面する多様な食の課題に向き合いながら、日本人が育んできた食文化の可能性や、テクノロジーによる食の進化を紹介し、「新しい食べ方」について来場者と共に考える場を目指しています。また、食を通じて日常の“当たり前”を見つめ直すことで、いのちへの感謝を育む体験を提供します。そしてここから、「いただきます」という言葉に込められた価値を、あらためて世界へ発信していきます。

会場は空想上のスーパーマーケットを模した構成となっており、4つのゾーンで展開されます。
“いのちと食の循環”を感じながら来場者をスーパーマーケットの入り口へといざなう〈プロローグ〉、
日々の食を通じて「当たり前」を問い直し、いのちへの感謝を促す〈いのちのフロア〉、
より良い食の未来に向けたヒントをちりばめた〈みらいのフロア〉、
そして、大きな食卓のようなテーブルを囲み、分かち合うよろこびで締めくくる〈エピローグ〉。

SPECIAL REQUESTは、この4つのゾーンで展開される展示映像およびインタラクティブコンテンツの企画演出と館内で流れるオリジナル楽曲制作を担当しています。




<プロローグ>
プロローグシアター映像

EARTH MARTの導入空間では、全長18メートルの巨大な壁面に、シアター映像を投影。
テーマは「いのちと食の循環」——すべての生き物は、他の命をいただくことで生きているという事実。
命は命を紡ぎながら循環していく——当たり前のようで、私たちが日々の食事であまり意識することのないこの営みを、繊細なアニメーションと音楽で描いています。

この映像は、EARTH MARTへ足を踏み入れる前に、「いのちをいただく」という本質的な気づきを促し、食に対する“当たり前”をリセットするためのマインドセットを整える役割を担っています。



<いのちのフロア>
いのちのはかり

「いのちのはかり」は、食べ物の重さを測るための秤ではなく、“いのち”の重さを感じるための体験装置です。秤の上に食材を載せると、カラフルでポップなイラストとともに、その背景にあるいきものの営みや、資源としての貴重さ、意外な事実がストーリーとして映し出されます。牛乳・おにぎり・水・コーヒー・チョコレート・はちみつの6種類の食材を通して、食品の背後にある現実を「重さ」というかたちで可視化していきます。

あえてすぐには「何の重さ」かを明かさず、体験者が想像し考える“間”を設けることで、子どもにも理解しやすく、家族のあいだで自然と会話が生まれるように設計されています。日々の食事で当たり前のように目にする食品に、あらためて意識を向けるきっかけとなるコンテンツです。

<いのちのフロア>
いのちのショーケース

人間が日常的に口にする食べ物の種類は、他の雑食性動物と比べても圧倒的に多く、その数は数万種にのぼると言われています。「いのちのショーケース」に並ぶのは、その中のほんの一部です。

本コンテンツでは、世界中で食べられている代表的な食材100種類を取り上げ、通常は「重さ」で示される年間消費量を、“いのちの数”として数値化。スーパーマーケットに大量に並ぶパッケージを模したアニメーションで表現しました。その映像からは、私たちの食がいかに多様で、そしてどれほど多くの「いのち」に支えられているかが見えてきます。



<いのちのフロア>
いのちのレジ

「いのちのフロア」の締めくくりとなる「いのちのレジ」は、これまでの展示で見てきた“いのち”が、私たち自身の身体をかたちづくっていることを、インタラクティブな体験を通して実感できるコンテンツです。

モニターの前に立つと、画面上の自分の顔が、これまで食べてきた“いのち”へと置き換わります。2台のモニターのうち、1台には豚・牛・魚など肉にフォーカスした動物の顔がランダムに表示され、もう1台には、野菜や果物をコラージュした、植物性のコミカルな“食べものの顔”が映し出されます。

自分の姿が食べものとして描かれるというユーモラスな仕掛けを通して、「食べること=いのちをつむぐこと」という感覚を、身体を通して自然に受け取ってもらうことを目指しています。



<未来のフロア>
未来を見つめる寿司屋

江戸前鮨の象徴的存在、「すきやばし次郎」創業者の小野二郎氏にご協力いただき、普段は天然ものしか握らない氏が、養殖技術や品種改良によって生まれたネタで鮨を握る姿を映像で映し出します。透過ディスプレイを用いた演出により、まるでご本人が目の前にいるかのようなリアルな体験を生み出します。

「今は、養殖より天然のほうが美味しいから天然を握ります。しかし、漁獲量の減少や良質な魚が手に入りにくくなる中で鮨の未来を考えると、国や人々が海の資源を守り、新しい技術に目を向け、職人もまた努力を重ねなければなりません。」——そんな小野氏の言葉が、伝統と革新のはざまで“これからの食”を静かに問いかけます。

鮨職人の矜持とフードテクノロジーの進化が交差するその瞬間に、食文化の未来への新たな視点が浮かび上がります。



<未来のフロア>
味を記憶し、再現できるキッチン

ソニーグループが開発を進める調理データ化技術「録食(ろくしょく)」を活用した、次世代のキッチン体験を紹介するコンテンツ。

「録食」は、料理人の手によって生み出された一皿を、1秒、1℃、1g単位で高精度に記録し、そのデータをもとに専用調理機器と連動させることで、味の再現性を極限まで高めることを可能にする技術です。従来のレシピや動画では伝えきれなかった、料理の“技”や“感覚”をデータとして保存し、家族の記憶に残る味や、遠く離れた土地の料理、そして今では味わえない“思い出の味”を、再び体験できる未来を提示しています。

本コンテンツでは、俳優・速水もこみち氏やシェフ・脇屋友詞氏のレシピ、さらに閉店した青森・弘前の名店「ためのぶ」の料理などを通して、プロフェッショナルの技や貴重な味の再現を実現。「録食」がもたらす調理体験の革新性と、食文化の継承の新たなかたちを伝える構成としています。



<エピローグ>
エピローグシアター映像

パビリオンのフィナーレでは、来場者が巨大な食卓を模したテーブルを囲みながら、没入感のあるプロジェクション映像を体験します。映像に映し出されるのは、「食べるとは何か?」という問いに対する本質的な答え。それは、地球の限りある食資源を分け合い、食事をともに囲むことの尊さと喜び。人と人がつながり、思いを寄せ合う「食」の原点に立ち返る体験を通じて、誰もが自然と“いただきます”と心から言いたくなるような余韻を生み出します。

CREDIT INFO

Theme Project Producer
小山薫堂

Agency
株式会社オレンジ・アンド・パートナーズ

Implementation Production and Operation
株式会社電通/株式会社電通ライブ

Architectural Design and Construction
大成建設株式会社/隈研吾建築都市設計事務所

Exhibition Production
株式会社乃村工藝社

Art direction
Tamotsu Yagi Design

Contents direction
株式会社SPECIAL REQUEST



▼体験設計

Experience Designer
丸山 研司(SPECIAL REQUEST.Inc)
青柳 佑弥(Musubime)



▼プロローグ映像

Creative Director
丸山 研司

Producer
中村 俊介(AOI pro.)

Projecr Manager
渡部 ゆりか(SPECIAL REQUEST.Inc)
房本 舞花(AOI pro.)
Ming Xuan Wilson(AOI pro.)

Director/Animation
水井翔 (P.I.C.S. management)

Editor
大多和 侑希(TREE Digital Studio)

CG Producer
今若 弘大(TREE Digital Studio)

CG Editor
政本 星爾(TREE Digital Studio)
田中 舜理(TREE Digital Studio)
山中 渓太(TREE Digital Studio)
上野 雅志(TREE Digital Studio)
寺戸 俊(TREE Digital Studio)
SHIN DABIN(TREE Digital Studio)

MUSIC
清川 進也(eightyeight.work)



▼いのちのはかり

Creative Director/Producer
丸山 研司(SPECIAL REQUEST.Inc)

Project Manager
渡部 ゆりか(SPECIAL REQUEST.Inc)

Illustrator
金澤 繭子

CG Designer
水野 開斗



▼いのちのショーケース

Creative Director/Producer
丸山 研司(SPECIAL REQUEST.Inc)

Projecr Manager
稲垣 雄史(SPECIAL REQUEST.Inc)

CG Producer
高野 俊一(edp.co.ltd)

Art Director
加藤 貴大(edp.co.ltd)



▼いのちのレジ

Creative Director
丸山 研司(SPECIAL REQUEST.Inc)

Producer/Projecr Manager
稲垣 雄史(SPECIAL REQUEST.Inc)

CG Desgner
福田 康隆

Engineer
轡田 創



▼未来を見つめる寿司屋

Creative Director/Producer
丸山 研司(SPECIAL REQUEST.Inc)

Project Manager
渡部 ゆりか(SPECIAL REQUEST.Inc)
穂満 圭佑(overa.inc)
小椋 日奈子(株式会社ハニカムラボ)

Director of Photography
中島 祐介(goodneighbor.inc)

Typography Design
田中 健一

Enginner
川野 徳道(株式会社ハニカムラボ)
原 省吾(株式会社ハニカムラボ)



▼味を記憶し、再現できるキッチン

Creative Director/Producer
丸山 研司(SPECIAL REQUEST.Inc)

Project Manager
渡部 ゆりか(SPECIAL REQUEST.Inc)

Director
上田 希(Plusboku.Inc)



▼エピローグ

Creative Director
丸山 研司

Producer
中村 俊介(AOI pro.)

Projecr Manager
渡部 ゆりか(SPECIAL REQUEST.Inc)
房本 舞花(AOI pro.)
Ming Xuan Wilson(AOI pro.)

Director/Animation
水井翔 (P.I.C.S. management)

Editor
大多和 侑希(TREE Digital Studio)

CG Producer
今若 弘大(TREE Digital Studio)

CG Editor
政本 星爾(TREE Digital Studio)
田中 舜理(TREE Digital Studio)
山中 渓太(TREE Digital Studio)
上野 雅志(TREE Digital Studio)
寺戸 俊(TREE Digital Studio)
SHIN DABIN(TREE Digital Studio)

Food Coordinator
茂庭 翠

MUSIC
清川 進也(eightyeight.work)

Food Advisor
岡根谷 実里

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